美しいまちを創り伝えるために
花緑・景観研究会代表小林郁雄(淡路景観園芸学校兼任教員/神戸山手大学教授)
「花緑施策と景観施策との融合」調査研究(平成20年3月)
1景観緑政策・施策と花緑まちづくり

街を実際に使う人々、そこに住んでいる人たちやその街に訪れる人たちにとっては、街なみの構成要素である人工物と自然の間に特別な意識の境界はないが、行政側ではそうはいかない。人工物は主に「景観施策」、自然は主に「花緑施策」と担当部署が分かれている。
花緑施策のなかでも公園、道路、河川、都市緑化など部署間の連携が少ないこと、また景観施策でも既存条例と新しい景観法の取り扱いなど、それぞれの施策内での課題もあるが、その一方で花緑施策及び景観施策に共通する課題として、積極的な住民参加による地元主導の施策があげられる。
2花緑政策・制度とボランティア・NPOの役割
ボランティアNPOから次のような指摘があった。
●「花いっぱい」という呪文にとらわれている
花「いっぱい」のためには、土づくり、花柄つみなどの地道な手入れや水やりといった継続的作業が必要とされる。これらの作業なくして「花いっぱい」は望めないし、本来このような地味な作業が大部分を占めるにも拘らず、このような作業に注目した施策はほとんどされていない。
●施策の不思議
行政が住民の花緑活動に配布する資材としては相変わらず、もの(苗、肥料など)の配布が中心である。しかも配布時期が、年度の関係上秋になることがしばしばで時には11月になってしまうこともあり、必要な時に必要な資材が配布されないということが多いし、求めている苗や資材が求めている活動に配布されているのかは非常に疑問である。
●地道に活動をしている人や団体を知らない行政
地域の中では、長年花の世話を続けている人達やグループがたくさんある。彼らはお金(苗代)や人手、後継者がないなどという悩みを抱えながらも、黙々と活動を続けている。行政は、こういった人達やグループに目を向ける手だてを考えることが必要で、活動団体(個人)の洗い出しと名簿(データベース)の作成と維持管理が急務である。
活動団体ネットワークの実現に向けて
これからの花緑の活動において、例えば県民局単位や市町単位程度の「○○花みどりネットワーク」が住民の発意で出てくれば、それを支援するといった施策が望まれる。そのために、例えば地域ごとの「花みどり活動交流ワークショップ」を開催し、地域での活動の横の連絡の芽をつくっていくことから始めたらどうだろう。
神戸市は、現「花緑市民ネットワーク」への支援を拡充されたい。

3花緑施策と景観施策との融合のための方策
花緑行政は、個人やボランティア・NPOに対しての補助などを通じて、個別対策には多くの施策が用意されているが、まちづくり団体や専門家活用に対しては、不十分なところである。
一方、景観行政は、制度・条例などの整備を通じて、まちづくり団体との関係を深め、まちづくりという視点での施策は進められているが、個人・ボランティアNPOとの関係には、施策として不十分なところがある。
こうした、両施策の現状の特性を基に、花緑行政と景観行政とを融合的に推進していくためには、以下のような方向の施策展開が必要と考えられる。
●花緑行政の地域まちづくりへの参画
地域のまちづくりへのコミットを深め、まちづくり協議会などの活動とタイアップした施策や、条例などで指定された景観地区への積極的な施策を展開することによって、まちづくりにおける花緑の位置づけが明確化し、地域による自律的な維持管理を積極的に進めることができる。
花緑行政のまちづくりへの参画は、継続性ある花緑政策への根本的な方策でもある。
●景観行政の私的な花緑への規制誘導
道路緑化や公園花壇などにおける継続的な景観向上への施策に見合った私的空間への対策が、景観施策として望まれる。そのための基礎条件となる花緑景観への規制誘導を景観地区指定などに組み込んで、外部に見える個人空間の花緑支援を積極的に進める方策につなげたい。
そうした施策は、ボランティア・NPOとのより緊密な関係づくりやCBO(地域主体組織)とNPO(専門非営利組織)との協働促進施策が必要である。
●花緑・景観行政における参画・協働
花緑施策と景観施策の融合において、もっとも基本となるのはこの参画と協働である。行政と県民・市民との協働はもとより、県民・市民同士が花緑や景観に関し、その環境向上をめざして共に進めていくことが、より重要であり、花緑・景観行政は直接的な施策よりも、そうしたCBOによる地域的活動やNPOによる専門的活動に、どのような支援をどのような形で行うかを重視した施策展開が重要である。
1.広い空のあるのびやかなまちなみ景観にしよう

2.落ち着きのある素材や色彩を使おう

3.生垣やフェンス緑化、庭木などで緑をつなげよう

平成20年(2008年)10月 花緑センターだより 6号より
花緑センターだより
花と緑のまちづくりセンターでは、県民の花と緑への関心をより高めるため、花と緑のまちづくりの普及啓発の一環として広報誌「花緑センターだより」を平成19年から令和4年まで年4回発刊していました。
また、花と緑のまちづくりセンターの前身である「緑の相談所」の広報誌「緑の相談所だより」は平成17年、18年の2年間、発刊していました。
主要記事はWEBでも公開しています。
現在は、公式サイトのカテゴリー「花緑センターだより」として、引き継いでいます。
バックナンバーはすべてPDFファイルでご覧いただけます。花緑センターだより(創刊号~最終号PDF)

