意外に知らない「身近な植物英語」から考えるまちづくり 4
第四回
「チャリティー、サービス、ボランティア」
兵庫県立淡路景観園芸学校
主任景観園芸専門員平田富士男
●まちづくり活動に関連する英語
一年にわたり続けてきたこの連載もこれで最後で す。そこで最後に、話を花みどりから少し「まちづ くり」に広げて、それに関連する英語を取り上げて みたいと思います。
今、まちづくり活動の現場には多くの 「ボランテ ィア」のみなさんがいて、 その大きな担い手となっ ています。 この「ボランティア」、日本語に訳すと 何になるでしょう。 そう 「奉仕活動」 ですね。 と、 言いたいところですが、 実はそれは 「間違い」 です。 お手持ちの英和辞典で 「volunteer」 をひいてもた ぶんそこには「奉仕」の文字は出てこないと思いま す。 代わりに目に付く文字は 「志願、 志願兵、義勇 軍、・・・」ではないでしょうか。 ずいぶん勇ましい 意味ですね。 では、 逆に 「奉仕」を今度は和英辞典 で確かめてみましょう。 たぶん、 そこには 「service、 attendance」 などが並び、 「volunteer」 はないと思 います。 なかには 「bargain」 とう単語が見つかる かもしれません。 そうです、 ボランティア≠奉仕な のに、いつのころからかわが国ではボランティア= 奉仕という訳が定着してしまったのですね。 一方、 奉仕に似た言葉に「チャリティー (charity、慈善)」 があります。 この語源を調べるとラテン語の caritus (愛情)、 curare (気にかける、世話をする) から 来ているそうです。 これに対して「サービス」は serve (仕える) という意味ですから、チャリティー が上から下への愛を込めた行動であるのに対し、 サ ービスは下から上へのお仕えのように感じます。 で すから、「仕える」という意味のある奉仕は、まち づくり活動を説明する言葉としては実はそぐわない ところがあるのです。 花壇のお世話などの活動を見 ていると、 奉仕よりチャリティー (愛情をもって世話 をする) の方が概念としては近いのかも知れません。
●まちづくりへの愛と自発が生まれる工夫を

さて、話をボランティアに戻しましょう。先ほどの訳を見てみると、ボランティアは、客観的に人間の行動を説明しているだけの言葉であり、そこにチャリティーのような道徳的意味はありません。「自ら志願する行為」はすべてボランティアであって、その行為自体の善悪を問うてはいませんし、「有償か、無償か」の議論もありません。大事なのは、自ら志願して行動しているかどうかなのです。無償でも頼まれ仕事はサービスであり、お礼を受け取ったとしても自ら志願した行為であればボランティアなのです。そう考えると、私はボランティアに一番ぴったりの訳は「自発」ではないかな、と思っています。しかし、わが国のまちづくりボランティア活動でも、その訳語には「自発」ではなく、ごく自然に「奉仕」の語があてられます。まちづくりは、自分たちのすむまちをよりよいものにしていく活動ですから、自分の家のお庭をきれいにしたり、お家を修理したりするのと同じで、本来いそいそと楽しく自発的に行われても良いはずです。しかし、そこになぜか奉仕という言葉がつい使われてしまう背景には、その活動による成果が、自分の利益として具体的に返ってくることがわかりにくい、ということがあるからだと思います。ですからまちづくりに先導的に取り組む人々には、活動を展開するとともにそこから得られた利益をわかる形で発信していくことが重要になってくると思います。それが、ボランティアに本来の意味「自発」を取り戻すことにつながるのでしょう。私もボランティア本来の意味「自発」が自然に用いられるようになる日を、そしてまちづくりが愛と自発で満ちた行動・活動となる日が早く来ることを祈りながら、教育研究活動に取り組んでいきたいと思っているのです。
一年間おつきあいいただきありがとうございました。
平成21年(2009年)3月 花緑センターだより 8号より
花緑センターだより
花と緑のまちづくりセンターでは、県民の花と緑への関心をより高めるため、花と緑のまちづくりの普及啓発の一環として広報誌「花緑センターだより」を平成19年から令和4年まで年4回発刊していました。
また、花と緑のまちづくりセンターの前身である「緑の相談所」の広報誌「緑の相談所だより」は平成17年、18年の2年間、発刊していました。
主要記事はWEBでも公開しています。
現在は、公式サイトのカテゴリー「花緑センターだより」として、引き継いでいます。
バックナンバーはすべてPDFファイルでご覧いただけます。花緑センターだより(創刊号~最終号PDF)

