これからの花と緑のまちづくりと園芸の進化 4
1.園芸とは国民生活の中で、情操を育む主軸
兵庫県が生んだ偉大な文化人により、日本における園芸とまちづくりに対する指標は提言されていると考えられる。まず哲学者・三木清氏は「生活と文化」論の中で、私たちに与えられている自然への働きかけは、人間の創り出す文化であると述べている。更に先人達が築いた文化的な伝統に深く浸透することが大切で、現在私たちが取り組んでいる花と緑のまちづくり園芸はずばり当てはまる。これらの提言を要約すると<1>和魂洋才という言葉があるように、学ぶべき点は大いに学び取り入れるべきだが、日本人の心で独自の生活の中に個性を生かしながら創造することで、単なる物まねではいけないとしている。<2>音楽、美術、文学などと同じでその技術は生活に溶け込まなければならない<3>それらの努力により、より豊かな基盤は出来るが、達成するためにはロマン、愛がそそぎ込まなければならない。<4>そうして育むためには知識と訓練が大切であると結んでいる。1930年代の提言であるが、現代にずばり当てはまると信じられる。次に私たちの園芸やまちづくりに取り組む上で、ぜひ認識しておかなければならないのは環境であるが、播磨が生んだ倫理学者和辻哲郎博士の「風土」は書店で得られるが、環境、風土文学の著名であっさて、園芸学の塚本洋太郎博士などは常に学ぶべき原版としている。さて、花の文化については塚本氏のほか松田修氏、そして赤穂市出身の文学者西山松之助博士らのより日本と西洋の園芸文化の違いや共通点は詳しく述べられている。
私たちは生きる法典で六感(視聴、臭、舌身、心)は六根、六境として仏教で古くから調和をとる原点として、広く浸透してきているが、それらは相互に共感、共創される洋画の小磯良平画伯、そして神戸に住み、若い時代に学んだことのある日本画の東山魁夷画伯には共通点が多い。まずふるさと兵庫県をこよなく愛していること、共にクラッシック音楽のモーツァルトのファンであることである。いずれも回顧録や名書にも述べておられる。幸いにして筆者は県の文化課時代に所用で、小磯氏宅に寄せていただいたことがあり、今でも記憶しているのは、門を入るといつもモーツァルトの曲が流れていた。そうした音楽環境ですばらしく美しい女性画を画いてこられた。また東山氏は、ヨーロッパのすばらしい風景や町、日本の田園風景を生涯画き続けて、第二次世界大戦の動乱の中で苦労し精進されてこられた心は、すばらしい名画名作となって残されておられる。
また、宝塚歌劇団の演出家として有名な白井鐵造(1900~1983)は静岡県天竜市春野町の出身であるが、昭和の初期に師匠の岸田辰彌氏と共に宝塚歌劇団に入った。日本初のレビュー「モンパリ」を一人で振り付け、ラインダンスも初めて取り入れた。また、欧米に留学した後の作品「パリゼット」が大ヒットし、自ら作詞した「すみれの花咲く頃」は宝塚歌劇のテーマ曲になった。その後、百数十本を上演し、宝塚歌劇を確立されたのである。そして、宝塚市はすみれが縁で春野町とも姉妹提携され、内外に輪をひろげている
こうした心身と視覚などで共創する姿勢は幾多の郷土が生み育んだ文化人の歩みを学び取りまた、少しでも近寄ることの大切さが理解できる。筆者もこのように示されている心と美の行動に努めてみたいと考えて、日本画に挑んでみたり、国内外を歩む中でモーツァルトやベートーベンなどのクラシック音楽に耳を傾けようとする日々を送っている
恩師の塚本洋太郎博士との関わりはことのほか多く、県民会館のギャラリーで絵画の二人展をやったり、共に三宮のレコード店に行って名曲名盤を買いに行ったり、花を求めて旅の同行もしてきた。やはりモーツァルトファンであったし、良き感化を受けることができた。

「ミルテの花」

「スミレ」
2.共創するために良き環境を見出し、人々との出会いが大切
幸いにして兵庫県は、いろいろな環境文化に恵まれている。自らの体験から異業種の方々との関わりで、園芸のための生活と芸術文化が期待できる。日本海から太平洋まで、風土に変化があり、古き時代の伝統により城下町、門前町、宿場町が大きくなり都市が出来て波止場まちも世界に誇る神戸市がある。私の知る限り、先進国でこれほど緑を背景にした港都は少ない。いずれにしても、第二次世界大戦の動乱後の日本はなぜか園芸だけではないが、洋風がなびき過ぎている。海外の先進国では、今や日本や中国原産の植物が、丈夫でより美しいと言うことで愛好されており、日本庭園や盆栽、いけ花も重宝がられているのである。
やはり日本の伝統と自然のすばらしさを見直す、今がチャンスと考える。
私の心を学ぶ基点は、神戸市兵庫区五宮町にある祥福寺の山田無文老師、そして京都の清水寺の大西良慶老師に親しく教えを頂き、夢想国師が作庭した京都の正伝寺の庭があり、秀山老師に親しくして頂いたことである。また神戸製鋼、松下電器産業、大丸などの経済界の大先輩に出会って教えて頂くなど、園芸をより強くするために他業界の人々からの指針が必要であり、人間の六感清浄の調和こそが素敵なまちづくりに反映されるものと信じる。生活と芸術文化に園芸がより浸透することを期待している。

筆者作
平成20年(2008年)4月 花緑センターだより 4号より
花緑センターだより
花と緑のまちづくりセンターでは、県民の花と緑への関心をより高めるため、花と緑のまちづくりの普及啓発の一環として広報誌「花緑センターだより」を平成19年から令和4年まで年4回発刊していました。
また、花と緑のまちづくりセンターの前身である「緑の相談所」の広報誌「緑の相談所だより」は平成17年、18年の2年間、発刊していました。
主要記事はWEBでも公開しています。
現在は、公式サイトのカテゴリー「花緑センターだより」として、引き継いでいます。
バックナンバーはすべてPDFファイルでご覧いただけます。花緑センターだより(創刊号~最終号PDF)

