意外に知らない「身近な植物英語」から考えるまちづくり 2
第二回「セル、シーズ、ジェネリック」
兵庫県立淡路景観園芸学校
主任景観園芸専門員平田富士男
●私たちの生活のなかの花みどり英語
花みどりの英語第二回は、「セル、シーズ、ジェネリック」をとりあげてみましょう。まず、「セル」という言葉ですが、皆さんはどういう場面でお聞きになるでしょう。「売る」という意味の「Sell」という言葉がありますが、ここで取り上げたいのは「Cell」のほうです。パソコンを使われる方はよく表計算ソフトの「Excel(エクセル)」を利用されると思いますが、このエクセルのセル(つまり表計算のひとつひとつのマス目)は、このcellであり、わたしたち生物体を構成する最小単位である「細胞」を意味します。エクセルの表は、セルという細胞が縦横に並んだようなものですね。私たちが何気なく使っているセルも植物に関する英語だったわけです。
同じく「シーズ(Seeds)」です。ビジネスの世界では、ビジネス展開の元になる資源のことを「シーズ」と称します。「ニーズ(Needs)」と「シーズ」がぴったり合ったとき、そこにビジネスが成立するわけですね。ですから、「シーズ」はいわば「ビジネスのネタ」なのですが、もともとの意味は「タネ(種)」です。
受精したCell(細胞)は、分裂を繰り返してSeed(種)を形成し、さらに成長してひとつの個体となっていきます。
さて、最後の「ジェネリックGeneric)」ですが、これは最近、急にテレビCMでもよく聞くようになりました。「ジェネリック医薬品」としてです。しかし、これも元々といえば、生物の分類上の用語で「種(しゅ)」のもうワンランク広い仲間を表す「属(Genus)」の形容詞形、つまり「属の」という意味です。ちなみに、さきほどの「種(しゅ)」は英語では「スピーシーズ(Species)」です。
●まちづくりに関わる人の範囲を広げ、多様性を高める
さて、私たちがふだん何気なく耳にしている「セル、シーズ、ジェネリック」は、ある意味植物の生き様を示しています。つまり、植物はセルというたった一つの細胞を大事に育てて多くのシーズ(たね)を生産し、そこから多くの個体を育て、さらに種を多様化させていってジェネリックを形成し、生態系としてより強固なものにしていっているのです。

まちづくり活動も、最初はたったひとりの問題意識やニーズにきっかけがあるのですが、それがそのままでは「セル」の状態に過ぎません。一人の心と頭のなかに生まれたセルをシーズからジェネリックに発展させていく「大きな流れ」をつくっていくことが不可欠です。そのとき「花や緑」は大変有効なツールになります。「花や緑」は、単に一人一人の鑑賞の対象となってその人の心をいやすだけではなく、まちづくりに関わる人、まちづくり活動に取り組もうとする人を増やし、その範囲を広げ、それに関わるさまざまな人を呼び込み、巻き込んでいくことに対し有効に機能します。県内で活動箇所が多くなってきた「オープンガーデン」などはその典型的な事例と言えましょう。私たちは花や緑のもつそのような機能を最大限活用していくことを常に考えていくべきだと思います。私は、そこからまちづくりの仲間が「属々(ぞくぞく)」と育っていくことを願っているのです。
さて、次回は「セミナー、カルチャー、サクセッション」を考えてみましょう。
平成20年(2008年)10月 花緑センターだより 6号より
花緑センターだより
花と緑のまちづくりセンターでは、県民の花と緑への関心をより高めるため、花と緑のまちづくりの普及啓発の一環として広報誌「花緑センターだより」を平成19年から令和4年まで年4回発刊していました。
また、花と緑のまちづくりセンターの前身である「緑の相談所」の広報誌「緑の相談所だより」は平成17年、18年の2年間、発刊していました。
主要記事はWEBでも公開しています。
現在は、公式サイトのカテゴリー「花緑センターだより」として、引き継いでいます。
バックナンバーはすべてPDFファイルでご覧いただけます。花緑センターだより(創刊号~最終号PDF)

