これからの花と緑のまちづくりと園芸の進化 2

技術顧問 藤岡作太郎

1.恒久的な市民活用形のホフ(森、中庭)を多くつくろう

恒久的で街のシンボルとなる小さな森、ヨーロッパでホフと呼んでいる。中庭ともいうが、まちづくりに関わる市民の活動拠点であり、楽習館、モデルガーデン等も備わっている。有名なのは、スイスのチューリッヒ市リンデン(ボダイジュ)の森、オランダのリッセ市の近くにある著名なチューリップ公園は、キューケンホフと呼ばれている。森づくりにふさわしい樹木として、県北部ではカエデ、シナノキ、カツラ、県中部でもカツラやアカシアフリーシア、カシ、モッコク、モチノキ、ヒイラギ、ナンテン、丹波路にはヒュウガミズキ、ウワミズザクラ、県南ではカツラ、アメリカフウ、ユズリハ、タブノキ、新しいキエダヤナギなど適応できる樹木が多い。

(写真1)はカナダブッチャートガーデンのホフで、日本でも容易に育つカラーリーフのアカシア‘フリーシア’、ベニバスモモ、アメリカトウヒがみられる。

(写真2)ではドイツのアウグスブルク市内にある公園付きのホフで、日本の造園師が造った庭もあり、暮らしの植物園が完備している。

(写真3)は2000年に淡路花博の出展中最優秀賞をとったせせらぎのある自然の庭であり、これらをみると、高木はシンボル的な樹木を主役とし、樹陰や市民の実践活動のできるスペースには町づくり、家庭の景観づくりのヒントとなる低灌木、花木、グランドカバー、恒久的な宿根草園を、風格のある演出を行ってまとめあげるのが好ましい。これは高齢者、若者、すべての市民活用型の中庭、小森であり、森林浴、植物より発散するマイナスイオン浴等健康充足という目的をもったものにまとめられる。四季折々に1、2年草をたえず植え替えるシステムでなく、これからは恒久化する植栽を行ってガーデンシティの要とする時代である。

写真1

ホフはヨーロッパでは市民の活動拠点でシンボル化されている(カナダのブッチャートガーデンのアカシアのホフ)

写真2

セイヨウボダイジュ(ドイツのアウグスプルク植物園や楽習施設を多く備えている)

写真3

ホフの中にはせせらぎも必要で情緒的なガーデン企画が大切(淡路夢舞台にて)


2.水辺と健康充足のためのマイナスイオン浴をまちづくりに生かす

最近テレビ誌上で国民の健康充足に水及び植物より発散するマイナスイオン効果がクローズアップされている。街に水辺を創造することは、[1]防災安全に役立つ [2]地球温暖化防止と共に水の浄化を推進し、環境浄化を要とする。そのために写真4にみる美しい水生植物を植えることは情操を育むことと植物によって水の浄化に役立たせる。とりわけセキショウ、シュロカヤツリグサ、パピルス等は有効とされている。日本では佐賀、熊本両市は浄化の実用化が進んでいる。海外では、オーストラリア東部が抜きん出て普及している。

(写真4)はニューヨークのセントラルパークの池畔のポンテデリアで、浄化力は少ないものの草姿と夏場に花が長く咲くので、本来アメリカ東部原産であるが、日本にも多く導入されている。街の中に小川、せせらぎのある演出は市民の精神的な落着きにも影響するとして、世界ではスイスのルッツェルン、ベルン、オーストリアのザルツブルク、ザルツカンマーグート、ドイツのベルリン等いわゆる水郷と称される都市は極めて情緒が豊かである。

(写真5)はアメリカ・ボストン市郊外のハーバード大学の入口にある霧吹状のイオン発散の噴水池であり、これに類似したのはボストン市街の中心部に数多くみられる。ボストン市内では夏場は、幼児がイオンのしぶき浴ができる大規模な噴水があり、自由に噴霧の池の中に入って水浴びする場面を多くみる。オーストラリアの首都キャンベラでは、林の中の散策する通路にそって、日本人の発想で作った林の中のスモーク状のマイナスイオン装置は、数年前に特賞をとったことがある。古くは那智の滝や養老の滝で水を浴びて修業したとされていることは、世界中でマイナスイオン効果が実用化されていることの先駆けである。それにしても諸外国にくらべて、神戸、大阪市のあたりはなぜ噴水が少ないのか、欧米を巡ってその数の少ないことに気付くのである。

(写真6)は、清流の美しい流れのあるニュージーランドのガーデンシティのクライストチャーチの街の中を縦横に流れているエイボン川である。このような小川、クリークは海外の都市に多くみられるが、クライストチャーチ市の川辺の手入れは見事であり、セイヨウボダイジュ、キエダヤナギ、ベニバスモモ等、本来ニュージーランドに自生しない景観樹木を主体に町づくりに使われている。

写真4

水辺の美化にはポンテデリアが特に有効とされている(アメリカ・ニューヨーク、セントラルパークにて)

写真5

水しぶきが霧状に発散させる、マイナスイオン霧水(アメリカ・ハーバード大学入口)

写真6

優れたガーデンシティにはほとんど市内に清きせせらぎがある


3.一般の園芸をたしなむだけでは景観創造の町づくりには結びつかない

(写真7)町かども家庭の庭も恒久性を考える時代に来ている。なぜならば、1、2年草主体では手間がかかりすぎて永続しない。そこで西洋でも国内でも、門、玄関脇にはシンボルのカエデ(幸福の木)、カツラ(繁栄)、ヤツデ(厄除け)を植え、しかも格調高くする。

(写真8)好例として、飛騨高山市の古川町にみるような坪庭は、今後極めて注目され普及するとみられている。水やり、除草等の手間がかからず落着きがある。和洋風のいずれも余り大きくならないベニシタンやキャラボクに岩組みと調和させ、底面は白川砂を敷き詰めるのである。

この手法は全国の地域風土性もあるので、それぞれ個性を出せばよい。この造園では、手間がかからずまた、子、孫の代まで維持できる。

(写真9)ニュージーランドクライストチャーチの町かどの花壇であり、やるからには合理的に枠組みをし、これまた格調の高い演出にする。いずれにしてもガーデンシティの花と緑は、続けて維持管理しやすい恒久的なものとなる必要があるのである。

写真7

花で飾るより、恒久的でシンボル性(カエデ=幸福)のある樹木を要に植えた方が有効

写真8

手間のかかる1~2年草より写真のような坪庭が普及する時代になる(高山市古川町)

写真9

街の花壇では風格のある花壇デザインに期待(ニュージーランド・クライストチャーチ)


平成19年(2007年)10月 花緑センターだより 2号より

花緑センターだより

花と緑のまちづくりセンターでは、県民の花と緑への関心をより高めるため、花と緑のまちづくりの普及啓発の一環として広報誌「花緑センターだより」を平成19年から令和4年まで年4回発刊していました。
また、花と緑のまちづくりセンターの前身である「緑の相談所」の広報誌「緑の相談所だより」は平成17年、18年の2年間、発刊していました。
主要記事はWEBでも公開しています。
現在は、公式サイトのカテゴリー「花緑センターだより」として、引き継いでいます。
バックナンバーはすべてPDFファイルでご覧いただけます。花緑センターだより(創刊号~最終号PDF)